知っておきたい

新型コロナウイルス感染症

国際医療福祉大学成田病院 感染症科 部長 加藤 康幸 先生 監修

普通のかぜを引き起こすコロナウイルスとは異なり、肺炎を起こしやすい(病原性が強い)新型のコロナウイルスです。


ウイルスの形状

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出典:国立感染症研究所ホームページ 
国立感染症研究所で分離に成功した新型コロナウイルスの電子顕微鏡写真 (niid.go.jp)

コロナウイルスには一般的なかぜのウイルスや「重症急性呼吸器症候群(SARS)」ウイルス、「中東呼吸器症候群(MERS)」ウイルスなどが含まれます。

表面のスパイクタンパク質が人の細胞の表面にあるタンパク質と結合することで、ウイルスが細胞内へ侵入し、感染を引き起こします。

普通のかぜやインフルエンザとの違い¹⁾

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新型コロナウイルス感染症は、一般的なかぜやインフルエンザよりも症状が長引く傾向があります。合併症の発症や重症化にも十分な注意が必要です。

また、一般的にウイルスは増殖する際に遺伝子が突然変異しやすいとされています。なかでも新型コロナウイルスは、より高い頻度で変異を起こす可能性があります。すでにイギリスや南アフリカなど世界各地で、新型コロナウイルスの変異株が報告されています。


 

1)参考資料:新型コロナウイルス感染症 (COVID -19 ) 診療所・病院のプライマリ・ケア 初期診療の手引きVer 4.1 (2021年2月10日現在)

新型コロナウイルスは、主に「飛沫感染」と「接触感染」で感染します。


飛沫の飛散距離²⁾

新型コロナウイルスは
約1m離れた会話でも感染する可能性があります

新型コロナウイルスは 約1m離れた会話でも感染する可能性があります
家族内感染にも注意が必要です

新型コロナウイルスは、主に感染者のくしゃみや咳などで放出されたウイルスを含む水滴(しぶき)を他の人が吸い込んで起こる「飛沫感染」と、人の手や物を介して感染する「接触感染」で感染します。

とくに飛沫感染の場合、約1mの距離で会話しているだけで感染してしまう可能性があるとの報告があります²⁾。


 

2)参考資料:一般財団法人  室内環境学会HP (2020年12月現在)    

症状は無症状から重症までさまざまです。無症状でも他の人に感染させる場合があります。


新型コロナウイルス感染症の時期別症状 

新型コロナウイルス感染症の時期別症状

新型コロナウイルスが体の中に入ってから発症するまでの潜伏期間は1~14日程度(平均約5日)です。感染者の80%は軽症で、かぜ症状や味覚・嗅覚障害がみられますが、軽症のまま完治する例が多くみられます。しかし、高齢者や基礎疾患をもっている人は重症、死亡のリスクが高くなります。

また、無症状でもほかの人を感染させる可能性があること、発症前後の時期がもっとも感染力が高いことが厚生労働省より報告されています。


参考資料:

Huang C, et al. Clinical features of patients infected with 2019 novel coronavirus in Wuhan, China. Lancet 2020.

Wu Z, et al. Characteristics of and important lessons from the coronavirus disease 2019 (COVID-19) outbreak in China: Summary of  a report of 72,314 cases from the Chinese Center for Disease Control and Prevention. JAMA 2020.

新型コロナウイルス感染症は、症状が長引く傾向があります。


新型コロナウイルス感染症の症状

新型コロナウイルス感染症は、症状が長引く傾向があります。

感染後、何ヵ月にもわたって息苦しさや倦怠(けんたい)感を訴える方がおられます。ほかにも、関節痛、胸痛、咳、味覚・嗅覚障害などが報告されています。また、脱毛が起きるという報告もあります。


 

参考資料:Miyazato Y, et al. Prolonged and late-onset symptoms of coronavirus disease 2019. Open Forum Infect Dis 2020.

高齢者や基礎疾患のある患者さんは、重症化する可能性があります。


30歳代の重症化率を「1」として比較した場合の重症化率¹⁾

30歳台の重症化率を「1」として比較した場合の重症化率 ※「重症化率」は、新型コロナウイルス感染症と診断された症例(無症状を含む)のうち、集中治療室での治療や人工呼吸器等による治療を行った症例または死亡した症例の割合

30歳代の重症化率を「1」とすると、50歳代で10倍、60歳代で25倍、90歳以上で78倍となると報告されています。ご高齢の方は、感染予防が重要です。


 

1)参考資料:厚生労働省HP (2020年11月現在)

基礎疾患別の新型コロナウイルス感染症による致命率²⁾

基礎疾患別の新型コロナウイルス感染症による致命率

心血管疾患、糖尿病、慢性呼吸器疾患、高血圧、がんなど基礎疾患のある方は、新型コロナウイルス感染症による致命率が高いことから、感染予防が重要です。

また重症化のリスクとなる基礎疾患には、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、慢性腎臓病、糖尿病、高血圧、心血管疾患、肥満があります。 また、妊婦や喫煙歴なども、重症化しやすいかは明らかでないものの、注意が必要とされています。


 

2)Characteristics of and Important Lessons From the Coronavirus Disease 2019 (COVID-19) Outbreak in China: Summary of a Report of 72,314 Cases From the Chinese Center for Disease Control and Prevention. JAMA2020.

「PCR検査」「抗原検査」「抗体検査」など目的に合わせたさまざまな検査方法があります。


新型コロナウイルス感染症の検査には体内にウイルスが存在し、ウイルスに感染しているかを調べための「PCR検査」「抗原検査」と過去にウイルスに感染したことがあるかを調べる「抗体検査」などがあります。症状の有無によって、行う検査は異なります。

検体(ウイルスの有無を調べる粘液やだ液、血液)を採取する部位やタイミングによって、ウイルスがいるはずなのに検出されないこと(陰性になること)もあります。

鼻や喉の粘膜のぬぐい液、だ液、血液で検査します

血液や粘液、だ液で検査します
検査の種類

 

* 2020年12月現在、日本国内で医薬品・医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律上、体外診断用医薬品として承認を得た抗体検査はありません。

世界中で治療法の研究が進んでいますが、特効薬はまだありません。感染の予防対策と早期受診、そしてワクチンの接種が大切です。


感染してしまった場合は、発熱や咳などの症状を緩和するための対症療法が中心となります。従って、感染を予防すること、感染した場合は早期に受診すること、そしてワクチンの接種が重要です。 

日常での感染の予防対策としては、手洗いとマスクの着用などがあげられます。 

感染症対策の基本

感染症対策の基本
感染症対策の基本2

正しいマスクの着用

正しいマスクの着用

3つの「密」を避けて集団感染の予防を!

「3密」を避けて集団感染の予防を! ※それぞれの「密」のみでも、集団感染のリスクは高まります

さらに3つの「密」を避けて行動することが、自分の身を守るのに加えて、集団感染を防ぐうえで欠かせないポイントです。

そして新型コロナウイルス感染症の予防策として欠かせないのが、ワクチンです。接種をお考えの方は、お住まいの自治体のホームページをご覧になるか保健所にご相談ください。

感染を疑うような症状が出たときは、医療機関や保健所などにご相談を

感染を疑うような症状が出たときは、医療機関や保健所などにご相談を

 

※高齢者や基礎疾患(慢性閉塞性肺疾患(COPD)、慢性腎臓病、糖尿病、高血圧、心血管疾患、肥満など)がある方や透析を受けている方、免疫抑制剤や抗がん剤などを用いている方

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